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李舜臣が挑む圧倒的不利な海戦
韓国で2014年に公開された「バトル・オーシャン 海上決戦」(原題「鳴梁」、英題「The Admiral: Roaring Currents」)は、李舜臣(イ・スンシン)将軍が率いた朝鮮水軍の戦いを描く歴史アクション映画だ。監督はキム・ハンミン。上映時間は128分で、韓国では15歳以上観覧可に指定された。
舞台は1597年、豊臣秀吉による朝鮮出兵のうち、韓国で「丁酉再乱」と呼ばれる時期の初めだ。敗戦と日本軍の北上で朝鮮が危機に陥るなか、李舜臣は朝鮮水軍の最高指揮官にあたる三道水軍統制使に復帰する。しかし、残された船はわずか12隻。鳴梁へ向かう日本側の船は330隻に上る。
映画は戦闘の勝敗だけでなく、戦意を失った兵士や恐怖に包まれた民衆を前に、李舜臣が不安をどう抑え、圧倒的な兵力差に立ち向かうかを丁寧に描く。李舜臣をチェ・ミンシク、日本軍の先鋒を率いる来島をリュ・スンリョン、脇坂をチョ・ジヌンが演じた。このほかキム・ミョンゴン、チン・グ、イ・ジョンヒョン、クォン・ユル、ノ・ミヌらが出演している。
公開12日で1000万人突破
韓国では2014年7月30日に封切られ、公開12日目の8月10日に観客1000万人を突破した。当時、韓国で公開された作品として12本目、韓国映画では9本目の「1000万人映画」となった。
公開18日目には観客動員数が1398万人を超え、「アバター」の1333万人を上回って当時の歴代興行1位に浮上。韓国映画振興委員会の映画館入場券統合電算網(KOBIS)によると、同年9月28日時点の累計観客数は1759万7914人に達した。公開3日で200万人、5日で400万人、7日で600万人、11日で900万人と、動員の速さでも当時の韓国映画記録を相次いで塗り替えた。
受賞も相次ぎ、釜日映画賞では最優秀作品賞、美術賞、撮影賞を獲得。大鐘賞では最優秀作品賞、チェ・ミンシクの主演男優賞、企画賞、技術賞に輝いた。キム監督は青龍映画賞の監督賞を受賞し、作品には同賞の韓国映画最多観客賞が贈られた。チェ・ミンシクは翌2015年、百想芸術大賞の映画部門大賞も受賞した。
約1時間の海戦、恐怖を戦う力へ
作品の核となるのは、約1時間に及ぶ海上戦だ。前半で李舜臣の苦悩や水軍内部の動揺、亀甲船の建造、日本軍陣営の動きを描き、戦闘開始後は砲撃や白兵戦、朝鮮水軍の板屋船と日本船の衝突、鳴梁海峡の激しい潮流を一つの戦場に重ねていく。
韓国の批評では、長い海戦の緊張感と、多数の登場人物を戦場の中で機能させた構成が評価された。とりわけチェ・ミンシクについては、感情の強弱を行き来する演技が心理劇のような深みを与えたとの声が出た。一方、李舜臣と他の将軍との対立や、兵士たちが李舜臣を信頼する理由の描写が十分でなく、印象に残る脇役が少ないとの指摘もあった。
英雄だけでなく兵士と民衆を描く
「鳴梁」は李舜臣の知略だけに焦点を当てず、恐怖に揺れる兵士や民衆も戦いを担う存在として描いた。忠誠や民への思い、親孝行を前面に出した重厚な作風は感動を呼ぶ一方、教訓を強く押し出しすぎているとの批判も受けた。
記録的ヒットの陰では、興行成績だけで作品が評価される風潮にチェ・ミンシクが残念さを示し、映画そのものをめぐる議論を求めた。また、韓国内の映画館にある2584スクリーンのうち1500~1600を占めたとして、特定作品への上映集中をめぐる「スクリーン独占」論争も起きた。
日韓双方の歴史にかかわる題材
本作が描く鳴梁海戦は、日本の朝鮮出兵を朝鮮側の視点から映像化したものだ。日本側の武将や軍船も主要な存在として登場するが、物語の軸は、朝鮮水軍と民衆が恐怖を抱えながら危機に向き合う過程に置かれている。
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