ロビンフッド・チェーンに資金活動が集中、手数料22倍が映すDeFi市場の「新規発行」熱

ロビンフッド・チェーンに資金活動が集中、手数料22倍が映すDeFi市場の「新規発行」熱

記事の理解を助けるための画像

ロビンフッド・チェーンが週間データの主役に

暗号資産の分散型金融、いわゆるDeFi市場で、ロビンフッド・チェーンを舞台にした取引活動が急速に膨らんでいる。DeFiの統計サイト、DeFiLlamaで2026年9月4日時点のデータを確認すると、ロビンフッド・チェーン自体の直近7日間の手数料は1240万ドルに達した。前の7日間は56万4000ドルだったため、週間比較では約22倍という急増である。さらに、各プロジェクトの手数料を実際に発生したチェーン別に集計すると、同チェーンでは直近24時間に2480万ドル、直近30日間に1億8020万ドルの手数料が発生した。直近1日の金額は30日間の日平均の4.1倍に相当し、足元に活動が偏っていることが分かる。

ここで注意したいのは、「22倍」と「4.1倍」が異なる比較を示している点だ。22倍は、ロビンフッド・チェーンという項目の7日間手数料を、その前の7日間と比べた数字である。一方の4.1倍は、チェーン上で発生した直近24時間の手数料を、過去30日の日平均と比較した「最近集中度」だ。いずれも急な活発化を示すが、計算の対象と期間は同じではない。短期間の数字が大きく跳ねたことは確かでも、それだけで長期的な利用定着や事業の成功を意味するわけではない。

ロビンフッドは米国で個人投資家向けの株式・暗号資産取引サービスとして知られる。日本の読者には、スマートフォン証券と暗号資産交換業者を組み合わせ、さらにブロックチェーン上の金融サービスへ踏み込んだ存在と説明するとイメージしやすいだろう。今回の動きで重要なのは、単に既存の暗号資産が売買されたというより、新しいトークンを発行し、初期の取引を生み出す「ローンチパッド」関連の利用が目立っていることだ。

Pons V2の伸長、新規トークンを巡る取引が押し上げ

週間手数料ランキングで存在感を示したのが、ロビンフッド・チェーン上のローンチパッド「Pons V2」だ。直近7日間の手数料は2630万ドルで、前週の340万ドルから7.7倍に増え、全体で4位に入った。手数料のうちプロトコルやトークン保有者側に帰属する「売上高」は480万ドルだった。ローンチパッドとは、新しい暗号資産やトークンを発行し、初期販売や取引開始を支援する仕組みを指す。日本の株式市場でたとえるなら、新規株式公開の入り口と取引所の一部機能を組み合わせたようにも見えるが、審査、投資家保護、情報開示などは証券市場と大きく異なる。

同じロビンフッド・チェーンでは「PAIR」も新規に浮上した。PAIRの7日間手数料は20万2000ドルで、前週はゼロと集計されていた。ローンチパッドの「Sentry」も、Inkとロビンフッド・チェーンを合わせて14万ドルから22万1000ドルへ増えた。データ上は15.3倍とされ、複数の新規発行関連サービスに利用が広がっていることを示す。

さらに、ロビンフッド・チェーン上で計上された「Arbitrum Nitro」の週間手数料は、5万6000ドルから130万ドルへ22.5倍に拡大した。こうした複数項目の同時上昇を見る限り、今回の変化は一つのアプリだけの特殊事情というより、チェーン上で新規サービスや取引がまとまって動き出した局面として捉える方が妥当だ。ただし、前週の金額が小さいサービスは、絶対額が限られていても倍率が極端に高くなりやすい。急上昇ランキングでは20万ドル以上という下限が設けられているものの、倍率だけを見て市場規模を判断するのは危険である。

手数料と売上高は同じではない

DeFiデータを読む際、日本の投資家が特に混同しやすいのが「手数料」と「売上高」の違いだ。手数料は、利用者が取引、交換、借り入れ、トークン発行などのために支払った総額を指す。売上高は、そのうちプロトコル運営側やトークン保有者などに帰属する部分である。すべての手数料がサービス提供者の利益になるとは限らず、流動性を提供した参加者への報酬などに回る場合がある。

ロビンフッド・チェーンの7日間手数料は1240万ドル、売上高は1120万ドルだった。Pons V2は手数料2630万ドルに対し、売上高は480万ドルである。分散型取引所のUniswap V4は週間手数料3280万ドルを記録し、前週比で105%増えたが、今回の集計上の売上高はゼロだった。同じ「手数料上位」でも、収益の分配設計は大きく違う。ランキングの順位を、そのまま企業の売上高ランキングや利益ランキングのように扱うことはできない。

週間首位は米ドル連動型ステーブルコインUSDTを発行するTetherで、手数料と売上高はいずれも1億1190万ドルだった。前週の1億1140万ドルとほぼ同水準である。2位のCircle USDCは、手数料と売上高がともに4540万ドルで、前週比1%増だった。ステーブルコインは、法定通貨などに価値を連動させるよう設計された暗号資産で、DeFi取引の決済資金や待機資金として広く利用される。新興チェーンの数字が急騰する一方、TetherとCircleという発行大手が安定して巨額の収入を得ている構図は変わっていない。

ソラナ、イーサリアムとの違いは「勢い」と「規模」

チェーン別の手数料を見ると、ロビンフッド・チェーンの直近24時間は2480万ドルで、ソラナの1150万ドル、イーサリアムの1000万ドルを上回った。ただし、30日間の累計ではソラナが3億6820万ドル、イーサリアムが3億600万ドルで、ロビンフッド・チェーンの1億8020万ドルより大きい。つまり、ロビンフッド・チェーンは長期の規模で両者を圧倒したのではなく、直近に限って活動が集中したと読むべきだ。

最近集中度はソラナが0.9倍、イーサリアムとデリバティブ取引で知られるハイパーリキッドが1.0倍だった。BNBチェーンは1.3倍、米コインベース系のBaseは1.1倍である。通常の流れに近い主要チェーンと比べ、ロビンフッド・チェーンの4.1倍は際立つ。この差は市場参加者の関心が短期間で移ったことを示す一方、反動による減速の可能性も示している。

DeFi市場では、トークン発行や報酬キャンペーン、話題性の高いサービスの登場をきっかけに、利用者と資金がチェーンをまたいで急速に移動する。飲食店の新規開店に行列ができる現象と似て、最初の盛況が固定客の獲得につながる場合もあれば、特典がなくなると客足が遠のく場合もある。今後は、Pons V2などの手数料が数週間後も維持されるか、新規発行後のトークン取引に十分な流動性が残るか、利用が一部の大口参加者に偏っていないかを確認する必要がある。

デリバティブや融資でも新顔、資金移動は速い

ロビンフッド・チェーン以外でも、新規参入や急増が相次いだ。デリバティブ分野のedgeX Perpsは、edgeX L1とイーサリアムで週間48万3000ドルの手数料を記録し、前週ゼロからの新規項目となった。イーサリアムとBaseで展開するサービス分野のSuperchainも、週間44万1000ドルで新規に登場した。

既存サービスでは、分散型取引所Ramses CL V2の手数料が11万5000ドルから140万ドルへ12.3倍に増えた。暗号資産融資のMoonwell Lendingは3万ドルから36万8000ドルへ同じく12.3倍、Mapleは84万3000ドルから270万ドルへ3.2倍となった。その一方、Hyperliquid Perpsの週間手数料は1630万ドルと上位を保ちながら、前週比では39%減った。市場全体が一方向に拡大しているわけではなく、利用先が素早く入れ替わっている。

利回り情報も手数料とは分けて見る必要がある。預かり資産が1000万ドル以上あるプールのうち、RaydiumのWSOL―USDCプールは表示上の年率が86.26%、30日平均が64.52%、預かり資産が1460万ドルだった。ここでいう年率は、流動性を提供する預金者側の条件を一定の前提で年換算したものだ。将来の確定利回りではなく、価格変動、報酬トークンの値下がり、取引構成の変化、スマートコントラクトの不具合などで実際の収益は変わる。日本の銀行預金の金利表示と同じ感覚で受け止めるべきではない。

日本への意味、個人投資家と事業者が見るべき点

今回の数字が直ちに日本の暗号資産市場へ同じ形で波及するとは限らない。日本では暗号資産交換業者に対する登録制度があり、国内で一般投資家向けに取り扱われる暗号資産は、海外の分散型サービスで自由に発行・売買されるトークンとは入口が異なる。ロビンフッド・チェーン上で新しいトークンが相次いでも、それが日本の交換業者へすぐ上場することを意味しない。この制度上の距離は、海外でのブームと日本国内の取引環境を分けて考えるうえで欠かせない。

一方、日本の利用者も自己管理型ウォレットを使い、海外のDeFiへ直接接続できる場合がある。そのため、日本市場に正式上陸していないサービスであっても、日本の個人が影響を受ける可能性はある。日本語のSNSや動画を通じて高利回りや新規トークンだけが強調されれば、仕組みやリスクを十分に理解しないまま資金を移す参加者が出ることも考えられる。特に、秘密鍵の紛失、偽サイトへの接続、不正なスマートコントラクトへの承認は、銀行や国内証券会社の口座トラブルとは異なり、取引を取り消せないことが多い。

日本企業にとっては、ロビンフッド・チェーンの短期的な順位そのものより、証券取引の顧客基盤を持つ企業が独自のブロックチェーン経済圏を構築しようとしている点が注目材料になる。日本でも金融各社や事業会社が、法令に沿ったセキュリティートークン、ステーブルコイン、デジタル証券の活用を模索している。ただし、今回のデータだけから、日本企業の具体的な提携や参入を予測することはできない。海外の新規発行市場がどの程度持続し、既存金融との接続が安全に進むかを見極める段階だ。

日韓の観点では、韓国は個人による暗号資産取引への関心が高く、関連市場の動向がニュースとして頻繁に取り上げられる。日本と韓国はいずれも、海外発のサービスが国内制度の外側で急拡大するという共通課題を抱える。利用者保護、広告表示、トークンの審査、国境を越えた不正取引への対応は、両国の規制当局や事業者にとって継続的な論点になる。ただし、今回示された公開データには、日本企業や韓国企業による新たな提携を裏付ける情報は含まれていない。

次に見るべきは継続性と利用の中身

今回の週間データが示す最大の変化は、ロビンフッド・チェーンにおける手数料発生が、過去1カ月の平均を大きく上回る速度で集中したことだ。Pons V2を中心とするローンチパッドの伸び、PAIRなどの新規登場、関連項目の手数料増加が重なった。既存のイーサリアムやソラナだけでなく、金融サービス企業の名前を冠した新しいチェーンが、利用者獲得競争の前面に出てきた点は市場構造の変化として注目できる。

もっとも、手数料が多いことは、安全性や社会的有用性を保証しない。取引回数が増えれば、投機が過熱した場合でも手数料は増える。新規トークンの発行が活発でも、その多くが長く使われるとは限らない。プロトコルの手数料収入が高くても、利用者が利益を得ているかどうかは別問題である。チェーンの評価には、手数料だけでなく、預かり資産、利用者数、取引の集中度、障害の有無、開発者の活動、資金流出時の耐性などを合わせて見る必要がある。

今後の焦点は、第一にロビンフッド・チェーンの24時間手数料が通常水準へ戻るのか、高い水準を維持するのか。第二に、Pons V2の伸びが一時的な発行ラッシュによるものか、継続的なサービス利用につながるのか。第三に、ステーブルコイン大手が安定収益を維持する一方で、チェーンやアプリの順位交代がどこまで進むかである。今回の数字はDeFi市場の熱源が移った瞬間を映したスナップ写真に近い。投資判断には、数日間の倍率ではなく、その後の推移を追う姿勢が求められる。

本稿はDeFiLlamaの公開データを基に市場動向を整理したもので、特定の暗号資産、トークン、チェーン、金融サービスへの投資を勧めるものではない。DeFiには価格変動、流動性不足、スマートコントラクトの欠陥、運営主体の不透明さ、各国規制の変更などのリスクがある。表示された手数料、売上高、年率はいずれも特定時点の数値であり、将来の収益や安全性を保証しない。

Source: Original Korean article - Trendy News Korea

コメント