BTS公演、韓国の転売通報で最多102件 日本のファンにも関わる「買えないチケット」の問題

BTS公演、韓国の転売通報で最多102件 日本のファンにも関わる「買えないチケット」の問題

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BTSの102件が示すもの、示さないもの

人気公演の発売時刻に合わせて待機しても、チケットは手に入らない。その一方で、転売サイトや交流サイト(SNS)には販売を持ちかける投稿が並ぶ。日本の音楽ファンにも身近なこの問題が、韓国で改めて浮き彫りになった。韓国の国会議員が公開した集計によると、直近約1年間にオンラインの通報窓口へ寄せられた公演チケットの不正転売に関する通報は、BTSのワールドツアー「アリラン」が公演別で最多の102件だった。

資料を公開したのは、国会の文化体育観光委員会に所属するチョン・ジュンホ議員。韓国コンテンツ振興院から提出を受けた資料に基づき、10日に数字を明らかにした。対象期間は、報道上の「昨年9月」から「今年8月27日」まで。ただし、提供された報道要約には記事の掲載年・月が示されていないため、ここでいう「今年」や後述する制度の施行時期を、特定の西暦に置き換えることはできない。

最初に押さえておきたいのは、102件という数字の意味だ。これは指定されたオンライン掲示板に届いた通報の件数であり、違法性が確定した売買の件数でも、被害者数でもない。BTSの公演が他の公演よりどの程度転売被害を受けやすいのかについても、この順位だけでは判断できない。公演数、販売された座席数、通報する人の多さといった条件がそろっていないためだ。

それでも、限られた席を求めるファンの行動と、正規の販売ルートの外側で動くチケット取引との間に、大きな摩擦があることは読み取れる。今回の資料で重要なのは、人気アーティストの順位そのものより、通報として見える範囲と行政が把握する販売投稿の広がり、さらに捜査につなげられる情報との間に、それぞれ隔たりがある点だ。

K-POPだけではない、世代をまたぐチケット争奪

公演別では、BTSに続いてPSY(サイ)の「びっしょりショー」に当たる「フムッポクショー」が88件、BIGBANGの20周年コンサートが69件、イム・ヨンウンの全国ツアーが64件、DAY6のスペシャルコンサートが51件だった。海外アーティストの韓国公演も対象となり、英国のバンド、オアシスは48件、ザ・ウィークエンドは44件の通報が寄せられた。

PSYは「江南スタイル」で日本でも知られる歌手で、「フムッポクショー」は大量の水を使う演出で知られる公演だ。一方、イム・ヨンウンは韓国の大衆歌謡「トロット」を背景に幅広い支持を集める歌手。トロットは日本の演歌や歌謡曲を連想すると入り口としては分かりやすいが、独自の歴史を持ち、近年はテレビ番組などを通じて世代を超えて親しまれている。DAY6はバンドであり、今回の一覧は、いわゆるアイドル公演だけの問題ではないことを示している。

なお、ツアー名に使われた「アリラン」は、韓国・朝鮮半島で広く歌い継がれてきた民謡の名前でもある。日本の読者には固有の公演名として見えるかもしれないが、韓国では文化的な響きを持つ言葉だ。ただし、今回の要約には命名の狙いや公演内容の詳しい説明はなく、名称から演出やメッセージを推し量ることは避けたい。

これだけ異なる観客層の公演が並ぶ点は見逃せない。転売対策を一部の熱心なK-POPファンだけの課題と捉えると、実態を狭く見てしまう。国内の人気歌手、バンド、海外アーティストと、公演の種類を横断して通報が寄せられている。一方、前年との比較は示されておらず、今回の数字だけで「転売が急増した」とまで言うことはできない。

通報102件に対し、行政が確認した投稿は1868件

BTS公演をめぐっては、もう一つの数字が明らかになった。文化体育観光部、日本の行政機関でいえば文化・スポーツ・観光分野を担当する省が確認した転売関連の取引投稿は1868件。オンライン窓口への通報102件の18倍を超える。チョン議員はこの差を踏まえ、実際の違法な転売による被害は、通報に表れたものよりはるかに大きい可能性があると指摘した。

ただし、ここでも数え方の違いに注意が必要だ。通報件数は窓口に届けられた情報の数で、取引投稿の件数は行政側が確認した投稿の数である。一つのチケットが繰り返し掲載された可能性や、同じ売り手が複数の場所に投稿した可能性について、要約では整理されていない。また、投稿されたチケットが実際に売れたかどうかも分からない。

したがって、「被害が18倍あった」「1868件すべてで違法売買が成立した」と読むのは適切ではない。通報数と投稿数は、同じ単位で測った被害規模ではないからだ。それでも、この隔たりは通報窓口の数字だけでは市場の全体像をつかみにくいことを示唆する。ファンが見かけた投稿をすべて届け出るとは限らず、行政が把握した投稿も、そのまま個別の違反を立証できるとは限らない。

日本でも、公演のチケットが高額で掲載されている画面を見ると、提示価格がそのまま取引相場であるかのように受け止めがちだ。しかし、売り手の希望価格と成立価格は別物であり、掲載数と被害者数も一致しない。今回の韓国の資料は、転売問題を論じる際に、何を数えた数字なのかを一つずつ確認する必要性を教えている。

通報の4分の3が音楽分野に集中

より長い期間で見ると、2023年1月から報道上の「先月」までに受け付けた公演チケットの不正転売に関する通報は、合計7639件だった。このうち音楽分野が5751件で75.3%を占める。BTSなどの公演別ランキングとは集計期間が異なるため、両者を同じ期間の内訳として扱うことはできない。

そのほかは、ファンミーティングや映画の舞台あいさつなどを含む「その他」が1188件、ミュージカルが423件、ゲーム分野が277件だった。韓国のファンミーティングは、歌やトーク、ゲームなどを通じてアーティストとファンが交流する催しで、日本でいうファンクラブイベントに近い面がある。ただし、内容や参加条件は催しによって異なる。

コンサートも舞台あいさつも、その場所、その時刻に参加すること自体に価値がある。録音や映像で後から楽しめる作品と違い、当日の席は開催後に買い直せない。この特徴は、日本の「推し活」とも重なる。好きな出演者を生で見たいという気持ちが強いほど、落選後に正規ルート以外の販売情報を探す動機も生まれやすい。

もっとも、音楽分野の通報が多いことと、音楽分野で違反が起きる割合が高いことは同義ではない。分野ごとの販売総数や公演数が示されていない以上、比較できるのはあくまで通報の構成だ。それでも、対策の設計に当たって音楽公演やファン向けイベントを重視する理由はある。これらの分野で、チケットを確保する機会への不満や疑念が、通報という形で集まっているためだ。

取引の入り口は、身近な中古売買サービス

取引経路別の通報では、タングンマーケット、チケットベイ、ポンゲジャント、中古ナラなどの中古売買・チケット取引プラットフォームが6098件で、全体の79.8%を占めた。X、フェイスブック、インスタグラム、テレグラムなどのSNS経由は1541件だった。日本の読者にとっては、フリマサービスやチケット売買サイト、SNSの個人間取引を横断して問題が起きている状況と考えると分かりやすい。

ここで列挙されたサービスの性格や利用規約はそれぞれ異なる。通報に名前が登場したからといって、そのサービス上の取引全体が違法というわけではない。また、通報の約8割がプラットフォーム経由だったことを、そのまま転売市場全体のシェアとみなすこともできない。利用者の数や通報のしやすさによって、窓口に届く情報の分布は変わり得る。

重要なのは、公演の公式販売サイトの外側に、購入希望者が売り手と出会う複数の入り口があることだ。公演主催者が販売時の本人確認を厳しくしても、外部サービスの投稿を直接管理できるとは限らない。逆に、投稿を削除するだけでは、売り手が別のサービスに移った場合や、個別メッセージで交渉を続ける場合の実態を把握しにくい。

今回の資料は、どのサービスの対策が有効だったかを比較したものではない。それでも、チケット会社だけ、SNSだけ、購入者だけに対応を委ねる仕組みには限界があると考えられる。正規の発券情報と外部の販売投稿を、適法かつ必要な範囲でどう照合するか。転売対策の実効性を左右するのは、取り締まりの強さだけでなく、情報がつながる仕組みでもある。

「見つけた」から「捜査できる」までの壁

通報が多数寄せられる一方で、文化体育観光部が警察へ捜査を依頼したのは、2022年以降、計4回、11アカウントにとどまったという。チョン議員は、予約番号など発券内容を特定できる情報を備えた有効な通報が、最大でも10%にすぎなかったと説明している。問題の存在を知らせる投稿と、具体的なチケットや取引相手を特定できる証拠との間には距離がある。

例えば、販売を持ちかける文章が残っていても、席や発券記録と結び付けられなければ、どのチケットに関する取引なのかを確認するのは難しい。ただし、今回の要約には通報に必要な項目の全体や、捜査依頼に至らなかった個別の理由は示されていない。有効な情報が少なかったという説明だけで、すべての処理結果を説明できるわけではない。

また、「4回」を通報総数7639件で割って、捜査につながった割合を算出するのも不適切だ。両者は対象期間が異なり、依頼の回数と個々の通報件数という集計単位も違う。一度の捜査依頼に複数のアカウントや取引が含まれる可能性がある。さらに、この数字は同省による依頼の実績であり、韓国の警察が行ったすべての捜査を表すものとは確認できない。

それでも、情報の不足が次の手続きへの障害となっている点は、制度上の重要な課題だ。利用者に通報を呼びかけるだけでなく、何を保存すればよいのか、安全にどう提出するのかを明確にする必要がある。一方で、証拠を集めるために一般のファンが危険な取引に踏み込んだり、予約番号や個人情報をSNSで公開したりすることは避けるべきだ。情報収集の責任を、通報者に過度に負わせない設計が求められる。

最大50倍の課徴金、その効果を決める条件

報道要約によると、「先月28日」からは、転売の販売金額の最大50倍を課徴金として科す内容の、いわゆる「不正転売根絶法」が施行された。課徴金として科した金額の50%を通報への報奨金に充てる内容も盛り込まれたという。ただし、要約には正式な法令名や対象行為の詳しい定義、適用要件、報奨金の支給条件は記されていない。あらゆるチケットの再販売に一律に適用される制度として受け取るべきではない。

最大50倍という数字には、転売で得られる利益に対して大きな不利益を設け、違反を抑えようとする方向性が表れている。報奨金は、行政だけでは見つけにくい取引について情報提供を促す仕組みといえる。しかし、罰則や課徴金の上限が大きいことと、違反が確実に把握されることは別の問題だ。発券情報に結び付く通報が少ないままなら、制度を使う手前の段階で案件が止まる可能性がある。

チョン議員が指摘したのは、海外サイトを通じた販売や、記念グッズに転売チケットを抱き合わせる手口だ。グッズの販売という形を取りながら、実質的にはチケットの対価を受け取る場合、表面上の商品名や表示だけでは取引の中身を判断しにくい。海外サイトを介する場合も、情報の照会や事業者との連携をどう進めるかが課題になる。

ただし、海外サイトで扱われる取引や、グッズとチケットを組み合わせた販売のすべてを違法と断定することはできない。個別の取引内容と法令の要件を照らす必要がある。新制度を評価するうえでは、最大額の大きさだけでなく、どのような事案に適用され、どの証拠によって違反を認定したのかが重要になる。

日本への意味――「推し活」の安心は国境を越える

日本にとって、この問題は隣国の芸能ニュースにとどまらない。BTSをはじめ、韓国のアーティストを応援し、韓国公演への参加を考える日本のファンにも、現地の販売ルールや転売対策は直接関わる。ただし、今回の資料に購入者の国籍別内訳はなく、日本人の被害件数や日本国内での転売規模は分からない。日本のチケット価格や興行収入への影響についても、具体的な数字を導く根拠は示されていない。

比較の手がかりになるのは、日本で2019年に施行されたチケット不正転売禁止法だ。一定の要件を満たす「特定興行入場券」について、興行主の事前の同意を得ず、販売価格を超える価格で業として転売することなどを禁じている。日本でも、あらゆるチケットの譲渡が一律に犯罪になるわけではない。韓国の制度についても同様に、見出しの金額だけでなく、何が規制対象なのかを確認することが欠かせない。

日本の公演では、公式リセールや電子チケットによる本人確認などが取り入れられている例がある。韓国の公演を購入する際も、日本の公演で使えた方法がそのまま通用するとは限らない。購入者名義と入場者の一致を求めるか、譲渡を認めるか、海外から利用できる公式窓口があるかは、公演ごとの案内を読む必要がある。「代金を支払ってチケットの画像を受け取った」ことと、「当日入場できる」ことは同じではない。

渡航を伴う場合には、入場できなかったときの影響が航空券や宿泊費にも及ぶ。そのため日本のファンにとって実務上大切なのは、高額転売の投稿を見つけることより、公式販売元、入場条件、キャンセルや正規の再販売の有無を先に確かめることだ。今回の資料は特定の購入方法の安全性を保証するものではないが、非公式取引では価格だけでなく、発券と本人確認の条件を見落とせないことを示している。

日本の興行会社やチケット事業者にとっても、参考になる論点がある。日韓をまたいで公演を楽しむ観客に対し、購入時と入場時の説明が食い違わず、言語が変わっても重要な条件が伝わるかどうかだ。ただし、今回の報道には日本企業の具体的な対応や、日韓当局の新たな連携は登場していない。ここで指摘できるのは共通する課題であり、すでに共同対策が進んでいるということではない。

取り締まりと、正当に譲れる仕組みをどう両立するか

転売対策を考える際、営利目的で買い占める行為と、購入後にやむを得ず行けなくなった人の事情は区別して考える必要がある。規制を強めるだけで、後者が安心して手放せる窓口がなければ、利用者は非公式な取引先を探すことになりかねない。公式の再販売や払い戻しの選択肢は、不正転売の取り締まりとは別に、観客の利便性を守るための課題でもある。

もっとも、今回の要約には、対象となった各公演の公式リセール制度や払い戻し条件は示されていない。BTS公演にどのような制度があり、それが利用されたかについて断定することはできない。正規の譲渡経路が整えば転売をどれだけ減らせるかも、この資料だけでは検証できない。制度の存在と実際の使いやすさを分けて調べる必要がある。

本人確認の厳格化にも、入場資格を確かめやすくする利点と、利用者の手続きが増える側面がある。外国人の氏名表記や利用できる身分証明書の案内が不明確なら、正規に購入した観客まで不安を抱える。これは今回そのような被害が確認されたという意味ではなく、国際的に観客を集める公演の制度設計で検討すべき点だ。

目指すべきなのは、熱心なファンほど複雑なルールを解読しなければならない市場ではない。どこで購入でき、どの条件で入場でき、行けなくなった場合に何ができるのかが明瞭であること。そのうえで、違反の疑いがある販売を見つけた際の通報経路が整っていることが、取り締まりと観客保護をつなぐ。

次に見るべきは、通報順位より制度の働き

今回の数字から浮かぶのは、音楽公演に集中する通報、中古売買サービスやSNSに広がる取引、そして発券を特定できる情報の不足という三つの問題だ。新たな課徴金制度は、これらの課題に対応するための手段の一つに位置付けられる。ただし、施行後に通報や違反、被害がどう変わったかは、提供された資料では分からない。制度が成功したとも、効果がなかったとも、まだ評価できない。

今後確認したいのは、まず通報の質が改善するかどうかである。発券情報の特定につながった通報の割合、プラットフォームから必要な情報を得られた事例、行政の処分や警察の捜査に至った経過が示されれば、窓口がどこで機能し、どこで止まっているかを判断しやすくなる。数字を継続的に比較するには、集計期間と数え方をそろえることも欠かせない。

通報が増えた場合の解釈にも慎重さが求められる。転売が増えた可能性がある一方で、窓口の周知や報奨金の導入によって、従来は表に出なかった投稿が届けられるようになった可能性もある。逆に、公開投稿が減っても、非公開のやり取りへ移っただけなら、観客の安心が高まったとは限らない。通報件数だけを対策の成績表にしない視点が必要だ。

BTSの「102件」は関心を集める見出しになる。しかし、日本のファンや興行関係者にとってより重要なのは、人気が高い公演でも、正規の購入機会と安全な入場が守られるかどうかだ。韓国の新制度を見る際も、罰金額の印象やアーティスト別の順位に目を奪われず、情報の把握から違反の認定、観客への案内までが実際につながるかを追う必要がある。それは、日本のライブ文化が抱える同種の問題を考えるうえでも、有用な比較になる。

Source: Original Korean article - Trendy News Korea

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