ソラナの手数料拡大、主役は新トークン発行サービス DeFiの「活況」を日本からどう読むか

ソラナの手数料拡大、主役は新トークン発行サービス DeFiの「活況」を日本からどう読むか

記事の理解を助けるための画像

値上がり率では見えない、暗号資産市場の動き

暗号資産の市場を追うとき、まず目に入るのはビットコインなどの価格だろう。だが、その裏側で利用者がどのサービスに、どれだけ手数料を払っているかを見ると、値動きだけでは分からない取引の集まり方が浮かぶ。今回の韓国報道が取り上げたのは、分散型金融「DeFi」のデータを集めるDefiLlama(ディファイラマ)の週間指標だ。新しいトークンの発行と初期取引を支えるサービスの伸びが、目立つ結果となった。

提供された記事が示す集計基準日は2026年9月11日。チェーン別の24時間手数料はソラナが1660万ドルで最大となり、直近の活動の集中度ではアービトラムが高かった。一方、個別サービスでは、週間手数料上位10件のうちFlap shが前週比102%増。急増・新規掲載の一覧では、ソラナ上のStonkFunが週間510万ドルと最も大きかった。以下の数値は、この報道に記載された集計に基づく。

ただし、「手数料が増えた」という事実を、そのまま「投資先として優れている」と読み替えることはできない。利用者の支払いが増えても、運営側に残る収入や、トークン保有者の利益が同じように増えるとは限らないからだ。今回の指標で押さえたいのは、取引の活発さ、事業への収益配分、投資する人が負うリスクを分けて見ることである。

まず整理したい「手数料」と「売上高」の違い

DeFiとは、ブロックチェーン上のプログラムを使って、暗号資産の交換や貸し借りなどを行う仕組みだ。銀行や証券会社の窓口に相当する役割の一部を、スマートコントラクトと呼ぶプログラムが担う。ただし、仲介の仕組みが変わっても、利用料や取引コストがなくなるわけではない。資産を交換する人が払った手数料は、サービスの仕組みに応じて複数の受け手に分配される。

記事では「手数料」を利用者が支払った総額、「売上高」をそのうちプロトコルとトークン保有者に帰属する部分として区別している。ここでいうプロトコルは、金融サービスを動かす仕組みを指す。日本の読者には、店舗で支払われた金額と、その中からプラットフォーム運営会社が受け取る部分を分ける感覚が近い。ただし、DeFiの「売上高」は企業会計上の売上高や純利益と同一ではなく、そのまま株式市場の財務指標と比較することはできない。

違いが鮮明なのは、イーサリアムとユニチェーンに展開する分散型取引所Uniswap V4だ。週間手数料は前週比24%増の4630万ドルだったが、記事の集計上の売上高はゼロだった。これは取引が行われていないという意味ではない。利用者が払う手数料と、集計対象となるプロトコル側の取り分が別の数字であることを示している。誰がどの条件で受け取るかを確認せずに、手数料総額だけで収益力を評価するのは危うい。

対照的に、記事でロビンフッド・チェーン上のトークン発行サービスとされるPons V2は、週間手数料が86%増の5630万ドル、売上高が1000万ドルだった。Flap shは手数料1460万ドルに対し、売上高320万ドル。同じ発行支援分野でも、手数料総額だけでは運営側に帰属する収入の大きさまで読み取れない。成長率と配分構造は、別々に確認する必要がある。

新トークンの「発行の入り口」に取引が集まる

今回、動きが目立ったのが「ローンチパッド」と呼ばれるサービスだ。新しいトークンを発行し、初期の売買につなげる役割を持つ。日本でなじみのある言い方なら、新商品を世に出すための発売プラットフォームに近い。ただし、トークンの発行は企業の株式公開とは異なる。発行されたというだけで、株式と同じ権利や、上場企業に求められるような情報開示が備わるわけではない。

BSCとX Layerに展開するFlap shは、週間手数料上位10件の中で最大の伸び率となった。102%増という数字は、前週のおよそ2倍の手数料が発生したことを意味する。Pons V2も86%増と伸びており、上位の一覧では、新しいトークンの供給とその周辺取引を支える分野が存在感を増した。

もっとも、すべての関連サービスが一斉に拡大したわけではない。ソラナの分散型取引所PumpSwapは、週間手数料2210万ドルと大きな規模を持つ一方、前週比では6%減だった。取引の土台となるチェーン全体が活発でも、個別サービスの動きは分かれる。「ソラナが好調だから、その上のプロジェクトもすべて好調」と一括りにしないことが重要だ。

新トークンの発行や初期取引に手数料が集まる現象は、市場の関心が新しい売買対象へ向かっている可能性を示す。ただし、今回の資料には、利用者の人数や継続利用率、発行されたトークンのその後の状況は示されていない。新規利用が広がったのか、限られた参加者が売買を繰り返したのかも、手数料だけでは区別できない。市場の裾野の拡大と結論づけるには、追加の指標が必要になる。

StonkFunが510万ドル、倍率の大きさには注意も

急増・新規掲載の一覧で、直近7日間の手数料が最も大きかったのは、ソラナ上のStonkFunだった。直前7日間の31万3000ドルから510万ドルへ増え、記事が示す増加倍率は16.3倍。同じソラナのBONK.fun Launchpadは120万ドルで34.7倍、LaunchLabは88万7000ドルで129.6倍となり、複数の発行サービスが急増一覧に並んだ。

伸びは発行サービスだけに限られない。ソラナの分散型取引所HumidiFiは週間33万3000ドル、記事記載の倍率で147.4倍だった。新規掲載のOKX Swapは、MantleとBlastに対応する分散型取引所の統合サービスとして90万1000ドルを計上した。こうした統合サービスは、複数の取引先をまとめて利用するための入り口となる。

価格などの外部情報をブロックチェーン上へ届ける「オラクル」の分野では、ソラナのPyth Proが72万3000ドルで新規掲載された。スマートコントラクトが外部の市場価格などを参照する際、その情報を受け渡す仕組みが必要になる。売買そのものだけでなく、取引を支える情報基盤にも手数料の発生が見られた点は、今回の一覧の特徴だ。

ただし、急増一覧には選別条件がある。対象は、直近7日間の手数料が20万ドル以上で、直前の7日間に比べ50%を超えて増えた項目だ。少額からの増加で倍率だけが極端に大きくなるケースを減らすための下限だが、それでも成長の継続を保証するものではない。倍率、増加した金額、現在の規模を併せて見る必要がある。

また、直前の集計値がゼロだったサービスの「新規掲載」は、必ずしもその週に事業が始まったことを意味しない。集計対象への追加やデータ取得の変更が関係していないかは、別途確認が必要だ。記事の表では金額が丸められているため、掲載額を単純に割った結果と公表倍率がぴったり一致しない項目もある。小数点以下の順位争いより、増加の規模と背景に目を向けたい。

ソラナは規模、アービトラムは直近への集中

チェーン別の数字では、ソラナの手数料が24時間で1660万ドル、30日間で4億640万ドルだった。イーサリアムは24時間1510万ドル、30日間3億2700万ドル。記事がロビンフッド・チェーンとして掲載する項目は、24時間1360万ドル、30日間3億1140万ドルとなった。この比較では、取引が行われた場所としての規模が見えてくる。

集計方法にも注意が必要だ。ここでいうチェーン別手数料は、各プロジェクトの手数料を実際に発生したチェーンへ割り当て、合算したものだ。ネットワークそのものの処理手数料だけを比べたランキングではない。ステーブルコイン発行会社について、チェーン外で記録される分は除外している。したがって、個別プロジェクトの表とチェーン別の表を、そのまま足し合わせることはできない。

もう一つの指標が「直近集中度」だ。24時間の手数料が、過去30日間の1日平均に対して何倍かを示す。ソラナは1.2倍、イーサリアムは1.4倍だった。これに対し、アービトラムは24時間180万ドル、30日間1790万ドルと絶対額では小さいものの、集中度は3.0倍で最も高かった。

日本の小売業に例えるなら、日々の売上高が大きい店と、直近の1日だけ通常の3倍売れた店の違いに近い。前者は規模、後者は足元の変化を表す。アービトラムの3.0倍は、直近に手数料の発生が集中したという意味であり、資金が3倍流入したということではない。純流入額、利用者数、預かり資産残高とは異なる指標である。

集中度が高まった理由も、今回の表だけでは特定できない。一時的なイベント、特定サービスの利用増、短期的な売買の集中など、背景を確かめる余地がある。次の週以降も手数料水準が続くのか、どのプロジェクトが増加を支えたのかを追うことで、単発の動きと継続的な利用拡大を見分けやすくなる。

ステーブルコイン発行会社は大きいが、比較の土台が違う

週間手数料の首位は、ステーブルコイン発行会社のTetherだった。記事の集計では手数料、売上高とも9690万ドルで、手数料は前週比14%減。Circle USDCも手数料と売上高がそれぞれ3970万ドルとなり、手数料は13%減だった。トークン発行支援サービスの急伸と対照的に、両項目は大きな規模を保ちながら前週を下回った。

ステーブルコインは、米ドルなどの通貨に価値を連動させることを目指す暗号資産関連の仕組みだ。値動きの大きい資産同士を直接交換する代わりに、取引の基準や決済の手段として使われる。ただし、価値の安定を目指す設計と、どのような状況でも同額で換金できる保証は別である。発行・償還の条件や準備資産の管理などが重要になる。

今回の比較には、発行会社のチェーン外の活動を含む項目と、チェーン上の交換や発行支援の手数料が同居している。TetherやCircleの数値を、利用者が送金時に直接支払ったネットワーク手数料と同じものとして読むのは適切ではない。記事は個々の算定項目の内訳まで示しておらず、厳密な比較にはDefiLlama側の定義や各サービスの開示を確認する必要がある。

同様に、前週比の減少だけをもってステーブルコインの需要が縮小したと断定することもできない。発行残高、送金額、取引での利用状況などは、この資料からは分からない。異なる事業モデルを同じ一覧に置くことは市場全体を眺めるうえで便利だが、順位がそのまま競争力の順位になるわけではない。

日本への意味――国内で買えることと、DeFiを使えることは別

日本の読者にとって今回のデータは、海外の暗号資産市場で利用者が何にコストを払っているのかを知る材料になる。一方、提供された記事には、日本居住者の利用人数や日本企業の参加、日本からの資金流入に関する数字はない。韓国の媒体による報道であっても、示されているのは世界のサービスを対象とした指標であり、韓国人投資家の動向を直接示すものでもない。日韓の個人投資家が一斉にこれらのサービスへ向かった、といった読み方には根拠がない。

日本では、暗号資産交換業に登録制度があり、国内の登録業者を通じた取引と、自分のウォレットを外部サービスにつなぐDeFiの利用では、資産管理やトラブル対応の仕組みが異なる。あるチェーンの基軸となる暗号資産を国内で購入できることは、そのチェーン上のすべてのサービスを国内業者が審査し、安全性を保証していることを意味しない。購入先への信頼を、接続先のプロジェクトにまで広げないようにしたい。

日本で新規公開株や新しい投資信託を見る際には、発行体の情報や目論見書を確かめるのが基本になる。ローンチパッド上の新トークンにも同じような確認姿勢は役立つが、開示の形式や法的な位置づけまで同じとは限らない。「新規発行」「人気」「手数料急増」という言葉を、審査済みの金融商品という意味で受け取らないことが大切だ。

国内企業が海外のDeFiを事業面から分析する場合にも、手数料総額と自社が得られる収入を区別する必要がある。Uniswap V4の例が示すように、利用の多さとプロトコルへの収益帰属は一致しない。今回の数字だけから日本市場への売上効果や提携の可能性を見積もることはできないが、サービスの成長を評価する際に、取引量だけでなく分配の仕組みを見る重要性は日本にも共通する。

年利217%という表示は、銀行預金の金利ではない

記事には、預け入れ総額が1000万ドル以上のプールを対象にした利回りの参考値もある。プールは、利用者が暗号資産を預け、交換などに使う資産を供給する仕組みだ。ソラナのraydium-ammにあるWSOL-USDCのプールは、表示年利が217.57%、30日平均が89.50%、預け入れ総額が2580万ドルだった。

WSOLは、ソラナの基軸資産SOLを対応するサービスで扱うためのトークン形式にしたものだ。USDCとの組み合わせは、値動きのある資産と、米ドルへの連動を目指す資産を一つのプールで扱うことを意味する。年利の数字が大きくても、元本の価値が固定されているわけではない。日本の銀行預金に表示される金利と同じ感覚で比べると、リスクの違いを見落とす。

直近の表示が217.57%であるのに対し、30日平均は89.50%という開きも重要だ。目の前の利回り表示を、そのまま今後1年間の受取額として確定させることはできない。取引の活発さや預け入れ資金の量などが変われば、利用者に配分される条件も変わり得る。高い数字は確認の出発点であって、収益の約束ではない。

イーサリアムのuniswap-v3にあるWETH-USDTのプールは、表示年利38.75%、30日平均42.21%、預け入れ総額1億900万ドルだった。こちらは直近の数字が30日平均を下回る。両プールの比較からも、利回りが常に同じ方向に動くわけではないことが分かる。ただし、資産構成や仕組みが異なるため、数字だけで優劣を決めることはできない。

流動性を供給する取引では、資産を単に保有し続けた場合と比べ、価格変動の結果として不利になるリスクがある。プログラムの不具合や不正利用、取引相手となるトークンの問題も別に考えなければならない。預け入れ総額が大きいという条件は、比較対象を一定規模以上に絞るものであり、監査済みであることや損失が起きないことを保証する基準ではない。

「実質利回り」に含まれていないコストを確認する

記事はガス代も参考として示している。ガス代とは、ブロックチェーン上で処理を実行するために支払う費用のことだ。試算では、預け入れと引き出しを1回ずつ行い、1年間保有すると仮定して、往復40万gasを使う。複利運用のために報酬を繰り返し預け直す操作は含めていない。

その前提で、イーサリアムの対象プールの往復ガス代は0.1100ドルと記載された。元本1000ドルのWETH-USDTでは、表示年利38.75%に対し、ガス代を差し引いた参考値が38.74%となる。ただし、この数字は取得時点のガス価格と一定の操作量を使った計算だ。実際の利用時に同じ費用で済むことを保証してはいない。

さらに、ガス代を差し引くだけでは、日本の利用者にとっての最終的な手取りは分からない。資産の交換や送付にかかる費用、売買価格のずれ、トークン価格の変動、円で評価する際の為替変動、税務上の扱いなどが関係し得る。記事の「実質」という表示は、あらゆる費用と損益を反映した利回りではなく、限定された前提での参考計算と理解したい。

ソラナのプールは、イーサリアム系と同じEVM方式ではないため、このガス代計算の対象から外されている。表で費用が示されていないのは、取引費用がゼロだからではない。異なるチェーンを比べる際には、計算対象外の欄と無料の欄を区別することも必要になる。

次に見るべきは、急増の継続と収入の行き先

今回の週間指標から読み取れるのは、ソラナが手数料の絶対額で大きく、新トークン発行サービスの複数で急増が起き、アービトラムでは直近1日への活動集中が強まったという構図だ。ただし、これは一定期間を切り取った観測である。DeFi全体の長期成長や、特定チェーンへの恒常的な利用移転まで証明するものではない。

今後の焦点は、まず翌週以降も同程度の手数料が発生するかどうかだ。そのうえで、伸びを支えるサービスが広がるのか、少数の案件に依存するのかを確認したい。利用者数や取引件数、預かり資産、資金の純流入など、別の指標と照らし合わせれば、同じ資金が短期売買を繰り返した結果なのか、利用の基盤が厚くなったのかを検討しやすくなる。

もう一つは、手数料の受取先と、その配分ルールがどうなっているかである。利用者が負担した金額、流動性の提供者が受け取る金額、プロトコル側に帰属する金額、トークン保有者に還元される仕組みは、それぞれ確認すべき対象だ。プロジェクトの利用が増えたからといって、関連トークンの保有者に自動的に利益が届くとは限らない。

日本から海外の暗号資産市場を見る場合、派手な倍率や高い年利は目を引きやすい。しかし、手数料ランキングは安全性の認定表でも、値上がりの予想表でもない。どこで活動が増え、誰がその対価を受け取っているのかを整理するための観測資料である。その位置づけを保つことが、短期的な活況と持続的な事業の価値を見分ける第一歩になる。

Source: Original Korean article - Trendy News Korea

コメント