韓国「公訴庁」新設へ組織案を再検討 捜査と起訴の分離、日本にも問う権限監視のあり方

韓国「公訴庁」新設へ組織案を再検討 捜査と起訴の分離、日本にも問う権限監視のあり方

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検察改革の焦点は「看板」から権限の設計へ

韓国で進む検察改革が、新組織の具体的な権限と人員配置を詰める段階に入っている。政府と与党「共に民主党」は13日、10月2日に発足予定の「公訴庁」について、組織案に盛り込まれた「司法統制部」の名称を「不送致事件審査部」に改める方向で積極的に検討することにした。「刑事企画官」と「重大犯罪捜査企画官」の職制を廃止する案も検討対象となった。いずれも今回の協議で最終決定されたわけではない。

日本の読者には、役所の部署名を変えるだけの話に見えるかもしれない。しかし、背景にあるのは、犯罪を捜査する権限と、被疑者を起訴して裁判で立証する権限をどう分けるかという、刑事司法の根幹に関わる問題だ。新しい公訴庁に従来の検察の捜査機能を残さないという改革の方向性を、実際の組織図にどこまで反映させるかが問われている。

もう一つの焦点は、捜査を担う警察などへの監視を弱めないことだ。検察の権限を縮小しても、警察が扱った事件の不適切な打ち切りを見逃すようでは、市民の権利は守れない。今回の協議では検察改革と並び、警察の行方不明者捜査の体制強化も取り上げられた。権限を移すだけでなく、その行使を誰が点検するかという課題が、より鮮明になっている。

大統領の修正指示を受け、政府・与党が協議

高位の政府・与党協議は、ソウル市内の三清洞にある首相公邸で開かれた。李在明(イ・ジェミョン)大統領が「公訴庁と所属機関の職制」の制定案について修正・補完を指示したことを受け、公訴庁の発足準備を点検した。韓国でいう「党政」は、与党と政府が政策や法案の方向性をすり合わせる枠組みを指す。日本の政府・与党間の政策調整に近いが、その場で合意した内容と、法律や組織規程として正式に確定した内容は区別する必要がある。

共に民主党の李龍雨(イ・ヨンウ)報道官は協議後、国会で記者会見し、公訴庁の発足に必要な課題を滞りなく進め、国民のための検察改革を完成させる必要があるとの認識で一致したと説明した。関連法の改正手続きを国会で速やかに進めるとともに、準備の過程で社会各界の意見を集める方針も示した。

発足日が設定されている一方で、組織の名称、企画部門の必要性、検事の定員といった重要事項には再検討の余地が残る。したがって、今回の動きは完成した制度のお披露目ではない。新しい機関を予定どおり動かすための準備と、改革の趣旨に沿って設計を見直す作業が同時に進んでいる局面と捉えるべきだ。

「公訴庁」とは何か――日本の検察庁と同じではない

公訴とは、国家が刑事事件について裁判所に審判を求めることだ。起訴後に証拠を示し、有罪であることを立証する活動は「公訴維持」と呼ばれる。韓国で準備が進む公訴庁を理解するうえでは、名称の似た日本の検察庁をそのまま思い浮かべるより、捜査と起訴の機能を切り分ける改革の中で設けられる組織だと考える方が分かりやすい。

捜査機関は証拠を集め、関係者から事情を聴き、事件の実態を解明する。これに対し、起訴を担う機関には、集まった証拠で刑事責任を問えるかを判断し、裁判に耐える主張を組み立てる役割がある。両者は密接につながるが、同じ仕事ではない。捜査に深く関与した側が自らの見立てに固執することを防ぐという観点からも、役割分担は重要な制度上の論点となる。

ただし、組織を分ければ自動的に相互のチェックが働くわけでもない。証拠が不十分な場合に誰がどのような手続きを取るのか、捜査機関の判断に疑問があるときにどこまで介入できるのかなど、接点の設計が必要になる。今回の「司法統制部」をめぐる議論は、その接点をどう位置づけるかという問題だ。

提供された報道要旨からは、新制度のあらゆる権限や手続きが確定したとは読み取れない。公訴庁が具体的にどの範囲で捜査機関に働きかけられるのかについては、今後の法改正や組織規程の内容を確認する必要がある。機関名だけで日本の検察制度と一対一に対応させると、改革の意味を見誤りかねない。

「不送致」の審査は、なぜ争点になるのか

法務省が構想した司法統制部は、警察などの捜査機関が事件を公訴庁側に送らず、終結させた処分が適切だったかを調べる組織だ。「不送致」とは、文字どおり事件を次の機関へ送らないことを意味する。日本の報道で使われる「書類送検」の逆を想像すると入口はつかみやすいが、送致の条件や事件処理の仕組みは国ごとに異なるため、同一の制度ではない。

また、不送致は、起訴を担当する機関が事件を受け取ったうえで起訴しないと判断する「不起訴」とも区別される。今回の審査部門が対象とするのは、捜査機関の段階で手続きが止まった事件だ。捜査が十分だったのか、必要な証拠が確認されたのか、事件が不当に隠されていないかを点検する役割が想定されている。

被害を訴えた人にとっては、事件を扱う側が「終結」と判断した後にも、その判断を検証する仕組みがあるかどうかは切実な問題となる。一方、疑いをかけられた人にとっては、一度終わった事件が明確な根拠なく繰り返し見直されないことも重要だ。審査機能は、被害救済と、捜査対象となる人の権利保障の双方に関わる。

法務省の構想には、不十分な捜査や事件の隠蔽を監視する狙いがある。しかし、検察改革を強く求める与党議員らは、審査という名目で、廃止する捜査指揮権が事実上復活する可能性を批判してきた。点検する権限が、現場に捜査方針を命じる権限へと広がらないか。その境界が争点となっている。

名称変更だけでは決まらない、監視と指揮の境界

「司法統制部」という名称は、司法に関わる広い監督権限を連想させる。これを「不送致事件審査部」に改めれば、どの事件の、どの判断を調べる部署なのかが名称から分かりやすくなる。幅広い「統制」ではなく、特定の処分の「審査」であると打ち出す意味はある。

ただ、名称変更それ自体が権限の縮小を保証するものではない。審査の対象を誰が選ぶのか、どの資料まで確認できるのか、問題を見つけた場合に何を求められるのかといった規定が、実際の強さを左右する。呼び名が限定的でも権限が広ければ、改革を求める側の懸念は残る。逆に、権限を狭めすぎれば、警察などの不適切な事件処理に対応できない可能性がある。

刑事企画官と重大犯罪捜査企画官の職制廃止が検討されることも、同じ文脈に位置づけられる。ただし、今回の報道要旨には、両職が担う予定だった個々の業務や、廃止した場合の移管先までは示されていない。職名に「捜査」が含まれることだけで、旧来の権限が温存されると断定することも、職を廃止すれば問題が解消すると考えることもできない。

今後の確認点は、組織図から何が消えたかだけではない。その仕事が別の部署に移るのか、仕事そのものがなくなるのか、外部から検証できる手続きになるのかが重要になる。制度改革の実効性を測るには、看板と職制に加えて、日常の事件処理の流れまで見る必要がある。

検事定員2292人を維持する理由と疑問

人員の規模も議論に上がっている。韓国法務省によると、現在の検事数は2051人で、法定定員の2292人を下回る。法務省は、未処理事件への対応や公訴維持の負担を理由に、定員の維持が必要だとしている。ここで区別すべきなのは、法律上配置できる人数である定員と、実際に在職している人数だ。定員を維持することと、現員をそのまま据え置くことは同じではない。

改革を推進する側からは、捜査機能をなくすのに検事の定員を維持するのは妥当なのか、という疑問が出た。李報道官も、そうした問題提起があったことを認めた。ただし、高位の政府・与党協議で定員について具体的な意見交換が行われたわけではなく、今後速やかに検討されるとの見通しを示した。削減幅や新たな人数が決まったという段階ではない。

人員問題を判断するには、「捜査がなくなるから減らせる」という説明だけでも、「裁判が忙しいから必要だ」という説明だけでも十分ではない。扱う事件数、未処理事件の内容、複雑な裁判に要する時間、地域ごとの配置などが判断材料となる。捜査と起訴を分けた後、証拠や記録を確認する仕事にどれほどの負担が生じるかも、運用を考えるうえでは重要だ。

今回の報道要旨では、業務別に必要な人数を積み上げた試算までは明らかになっていない。このため、2051人という現員や2292人という定員だけから、過大とも不足とも断定できない。改革後の仕事に見合った体制かどうかを説明することが、人員配置への理解を得る鍵となる。

検察を変えるなら、警察も変えなければならない

今回の協議では、与党側から警察改革にも厳しい注文が出た。これまでの取り組みは消極的であり、検察改革以上に強力に進める必要があるとの指摘だ。検察の権限を制限する議論と、警察に対する監督を強める議論は、本来切り離せない。捜査を受け持つ組織への信頼が揺らげば、起訴を担う組織を新設しても刑事司法全体の信頼回復にはつながらないからだ。

具体的な課題として取り上げられたのが、済州島の行方不明事件をめぐる虚偽の終結処理だ。政府・与党は、この事案で明らかになった管理体制の問題を改善する方針を確認した。行方不明者の捜索は、必ずしも当初から犯罪捜査として始まるわけではないが、事件や事故に巻き込まれている場合には迅速な判断が必要になる。

対策として、警察署の行方不明者担当チームが夜間に2人以上で勤務できるよう、専従人員を増やす。さらに、警察庁と、広域自治体単位の市・道警察庁にも専担組織を設ける方針だ。日本の読者には、警察署の現場要員を厚くするとともに、都道府県警本部に相当する地域段階や全国段階にも専門の体制を置く取り組みと説明すると理解しやすい。ただし、日韓の警察組織が完全に対応するわけではない。

人員増と専門部署の設置は、対応能力を高めるための手段となる。一方、虚偽の終結処理を防ぐには、誰が終結判断を承認し、その記録を誰が確かめるかという管理上の問題も残る。人数と組織の整備が、事件処理の点検や責任の明確化にどう結びつくかが、対策の実効性を見るうえでの焦点になる。

行方不明者の救命と、令状なしの情報取得

政府・与党は、危険性の高い成人の行方不明事案について、位置情報やカード利用履歴を令状なしで確認できるようにする「失踪成人法」の制定も議論する方針だ。これは今後の立法をめぐる検討であり、今回の協議によって直ちに新たな情報取得権限が認められたわけではない。

位置情報は居場所の特定につながり、カードの利用履歴は移動先などを探る手がかりになる。生命に危険が迫る場合、必要な情報へ迅速にアクセスできるかどうかは救助活動に関わる。制度の狙いを理解するには、通常の事件捜査と同じ速度では対応が間に合わない場合を想定している点に目を向ける必要がある。

一方で、位置情報や買い物の履歴は、個人の生活を詳しく示す情報でもある。成人が連絡を絶つ事情はさまざまで、単に家族が行方を知らないというだけで、本人の意思に反して居場所を把握してよいとは限らない。一般論としては、家庭内暴力などから避難している人の安全にも配慮が必要だ。これは今回の済州の事案の事情を説明するものではなく、制度を設計する際の論点である。

したがって、「高危険」の基準、情報取得を承認する責任者、利用目的の限定、記録の保存、事後検証などが重要になる。誰にどこまで情報を知らせるかも、本人の安全とプライバシーに関わる。今回の報道要旨には条文案の詳細がなく、こうした歯止めがどのように設けられるかは今後の確認事項だ。救命の迅速化と権限の乱用防止を、両立させる仕組みが求められる。

日本への意味――検察の役割と「捜査されない事件」を考える

日本にとって今回の改革は、韓国の制度をそのまま導入すべきかという話ではない。日本の検察官は起訴と公訴維持だけでなく、自ら捜査も行う。東京地検特捜部などの捜査を伝えるニュースは、その分かりやすい例だ。韓国の公訴庁構想は、そうした捜査と起訴の関係を組み替える動きとして読むことができる。

日本の検察審査会と比べると、今回の争点の位置も見えてくる。検察審査会は、市民から選ばれた審査員が検察官の不起訴処分の当否を審査する制度だ。これに対し、韓国で名称変更が検討される不送致事件審査部は、警察などが事件を送らず終結させた処分を、公訴庁内で調べる組織である。どちらも事件処理の判断をチェックする点では比較できるが、対象となる判断の段階も、審査を担う主体も異なる。

日本で刑事司法を考える際には、誤った起訴や有罪判断を防ぐことに加え、必要な捜査が行われなかった事件をどう救済するかという視点も欠かせない。韓国の議論は、捜査する側の権限を抑えることと、捜査しないという判断を点検することが、同時に必要であると示している。両国の制度の優劣を単純に決めるより、どの場面に監視の仕組みを置いているかを比較する方が有益だ。

一方、今回の報道要旨には、日本企業や在韓日本人への具体的な影響、日韓の捜査協力の変更、日本政府の対応は記されていない。日本市場への影響や二国間関係の変化を、現段階で断定できる材料はない。韓国で事業を営む企業や生活する人にとっては、将来、被害申告や事件に関する問い合わせの窓口がどう整理されるかが実務的な確認点になるが、その手続きが今回決まったわけではない。

組織再編の成否は、市民から見た手続きで決まる

公訴庁の発足準備は、権限を持つ側の組織図を描き直すだけでは完結しない。事件の被害を訴える人、捜査を受ける人、裁判に関わる人から見て、手続きが理解できることも必要だ。どこに相談すればよいのか、判断に納得できない場合は何ができるのか、事件がいまどの機関にあるのかが分からなければ、役割分担が細かくなっても利用者の負担は増えかねない。

移行に際しては、進行中の事件や記録をどのように引き継ぐかも重要な実務上の論点となる。今回の報道では引き継ぎ方法の詳細は示されていないが、発足準備において確認すべき点である。法務省が未処理事件と公訴維持の負担を定員維持の理由に挙げていることからも、新しい制度をつくる作業と、すでにある事件を処理する作業を並行して進める必要性がうかがえる。

政府・与党が社会各界の意見を聞くとしている点も、形式にとどまらないかが問われる。捜査や裁判を担う実務家の視点だけでなく、被害を訴える側や捜査対象となる側が直面する問題を、制度にどう反映させるかが重要になる。ただし、具体的な意見聴取の日程や方法は、提供された報道要旨では明らかになっていない。

10月2日の発足に向け、見るべき三つの点

今後の第一の焦点は、名称変更が実際の権限規定とどう結びつくかだ。不送致事件を審査する機能を残しながら、廃止する捜査指揮権が別の形で復活しないようにできるか。名称が変わったという説明だけでなく、審査の入口と、その結果取れる措置を確認する必要がある。企画官の職制を廃止するかどうかについても、業務の扱いまで示されることが重要だ。

第二は、人員配置の根拠である。検事の定員を維持するにせよ、見直すにせよ、改革後の仕事量に即した説明が求められる。同時に、警察の行方不明者対応を強化するための専従要員と専門組織が、現場の夜間対応や事件管理の改善につながるかを見ていく必要がある。単に一方の組織を小さくし、別の組織を大きくするだけでは、適正な事件処理は保証されない。

第三は、新たに認める権限への歯止めだ。成人の行方不明事案で令状なしの情報確認を可能にするなら、緊急性の判断と事後の点検をどう組み合わせるかが問われる。検察の権限集中を問題にする改革だからこそ、警察の側で広がる権限についても、目的と限界を明確にする必要がある。

韓国の検察改革は、新機関を設けるという大枠から、権限の境界を一つずつ決める段階へ進んでいる。市民にとって大切なのは、部署の名称の強さでも、機関同士の力関係でもない。必要な事件が適切に調べられ、根拠のない追及が抑えられ、誤った判断を正す道が確保されることだ。10月2日の発足に向けた制度づくりは、その具体的な仕組みを示せるかどうかで評価される。

Source: Original Korean article - Trendy News Korea

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