国連演説をきっかけに「非公開合意」めぐる応酬
ウクライナ軍が捕らえた北朝鮮兵2人の韓国移送をウォロディミル・ゼレンスキー大統領が公表したことをめぐり、韓国とウクライナの外交摩擦が表面化している。韓国外務省は9月28日、アンドリー・ベシュキン駐韓ウクライナ大使代理を呼び、事前の合意に反する一方的な発表だったとして抗議した。
発端は、ゼレンスキー氏が23日(現地時間)、米ニューヨークで開かれた国連総会の演説で、ウクライナ軍の捕虜となった北朝鮮兵2人が最近、韓国へ移送されたと明らかにしたことだった。韓国の李在明大統領は翌24日、SNSのXで、ウクライナ側が非公開の約束を破ったとして遺憾の意を示した。
これに対し、ウクライナ大統領府は非公開とする合意はなかったとの趣旨で反論した。韓国大統領府の成基洪・広報疎通首席秘書官は27日夜、非公開を先に求めたのはウクライナ側で、両国がその方針で合意していたと再反論。ウクライナ側の説明によって韓国内で李氏の発言の真偽まで問題視されているとして、公式な説明と謝罪を求めた。
韓国側「政府間の信頼を深刻に損なう」
韓国外務省の朴潤柱第1次官は28日、ベシュキン大使代理との面会で、ウクライナ側が事前説明や実務協議をせず国連総会で移送を発表し、その後に非公開合意そのものを否定したことへ強い遺憾を表明した。
朴氏は、一方的な公表と合意の否定は両国政府間の信頼を深刻に損ない、友好関係にも支障を与えるとして、ウクライナ政府による公式な説明と謝罪、再発防止を要求した。ベシュキン氏は韓国側の立場を本国へ伝えると答えた。
一方、これに先立つ趙顕外相とアンドリー・シビハ外相の会談では、趙氏がウクライナ国民に必要な支援を続ける考えを表明していた。韓国政府は支援継続の姿勢を維持しながらも、今回の情報公開をめぐっては厳しい対応に踏み切った形だ。
親ロシア系メディアがAI画像を拡散
両国の対立が注目されるなか、ロシア系を含む親ロシア傾向のメディアは、李大統領がゼレンスキー氏の頬をたたく場面を描いたAI合成画像を拡散している。李氏がゼレンスキー氏を「殺人者」と呼んだとも報じたが、元の発言の文脈を変えた歪曲報道だと指摘されている。
ゼレンスキー氏が移送を公表した背景については、戦争への外国兵参加を訴えて国際社会の支持を得る狙いや、北朝鮮兵の参戦が朝鮮半島の安全保障にも脅威になると強調して韓国から防空兵器の支援を引き出す狙い、自国内で捕虜交換をめぐる批判を避ける意図などが取り沙汰されている。
韓国で関連ニュースへの関心高まる
1978年に旧ソ連で生まれたゼレンスキー氏は、コメディアン、俳優を経て政界入りした。大統領を演じたドラマ「国民の僕」が足がかりとなり、2019年5月にウクライナ第6代大統領へ就任した。今回、国連総会での発言、両政府の食い違う説明、大使代理の呼び出しが重なり、韓国で検索上位に浮上した。
韓国メディアの関連動画も相次いで再生回数を伸ばした。9月28日時点で、チャンネルAが24日に公開した動画は約69万回、25日の非公開合意を扱った動画は約66万回に達した。MBC、聯合ニュースTV、SBSの関連動画も、それぞれ約50万回前後再生されている。
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