
記事の理解を助けるための画像
母が自ら殺人事件の真相へ
ポン・ジュノ監督の韓国映画『母なる証明』(原題『マザー』)は、殺人事件の容疑者となった息子の無実を信じ、母親が自ら真犯人を捜し始める物語だ。ポン監督とパク・ウンギョが脚本を手がけ、韓国で2009年5月28日に公開された。上映時間は128分。
町の漢方薬店で働く母にとって、28歳の息子ユン・ドジュンは何よりも大切な存在だ。ドジュンは一人で身の回りのことをこなすのが難しく、たびたび問題を起こしている。そんな中、村で少女が殺害され、ドジュンが容疑者として逮捕される。警察が捜査を早々に終わらせようとし、弁護士も頼りにならないなか、母は息子の潔白を証明するため独自に事件を追う。
母親役はキム・ヘジャ、ドジュン役はウォンビン。ドジュンの友人ジンテをチン・グが演じ、ユン・ジェムン、チョン・ミソン、ソン・セビョクらが共演する。母子の濃密な関係を軸に、殺人事件の真相へと迫っていく。
カンヌから各国の映画祭へ
本作は2009年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式招待され、ポン監督、キム・ヘジャ、ウォンビンらがレッドカーペットに登場した。トロント国際映画祭の特別上映部門やニューヨーク映画祭にも招かれ、サン・セバスチャン国際映画祭、マル・デル・プラタ国際映画祭ではコンペティション部門に選出された。このほかロッテルダム、ロンドン、バンクーバー、シカゴなど各地の映画祭で上映された。
受賞も相次ぎ、マル・デル・プラタ国際映画祭のSIGNIS賞、ミュンヘン国際映画祭のArri-Zeiss賞、ドバイ国際映画祭のアジア・アフリカ長編劇映画部門脚本賞などを獲得。アジア・パシフィック・スクリーン・アワードではキム・ヘジャが女優賞を受賞し、アジアン・フィルム・アワードでは作品賞、脚本賞、主演女優賞に輝いた。
キム・ヘジャの演技に高い評価
米ロサンゼルス映画批評家協会はキム・ヘジャに主演女優賞を授与した。韓国俳優が同協会の主演賞を受けた初のケースとなった。作品も2011年、ボストンやサンフランシスコをはじめとする米国の複数の映画批評家協会から外国語映画賞を受賞した。
韓国内でも青龍映画賞の最優秀作品賞、照明賞、チン・グの助演男優賞を受賞。釜日映画賞では最優秀作品賞、撮影賞、音楽賞、キム・ヘジャの主演女優賞に選ばれた。韓国の映画評論家による各賞でも作品とキム・ヘジャの演技が高く評価され、イ・ビョンウによる音楽は韓国大衆音楽賞の最優秀映画音楽部門を受賞した。
日本でも外国作品賞
日本では日刊スポーツ映画大賞の外国作品賞を受賞した。米インディペンデント・スピリット賞では韓国映画として初めて外国映画賞候補となり、第82回米アカデミー賞外国語映画賞の韓国代表にも選ばれた。ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞では一次候補に入ったものの、最終候補には残らなかった。
今も色あせない母子の物語
韓国映画振興委員会の映画館入場券統合ネットワークによると、2009年7月12日時点の累計観客数は297万3710人。母が息子の無実を追うサスペンスに、家族関係の危うさを重ねた本作は、演出、脚本、俳優の力がそろった一本として国際的に評価された。キム・ヘジャとウォンビンの演技、ポン監督らの緻密な脚本は、公開から年月を経た今も見直す価値を持っている。
コメント
コメントを投稿