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孤立した男女が互いを知るまで
韓国映画『オアシス』は、イ・チャンドンが監督・脚本を手がけた2002年のドラマだ。刑務所を出たホン・ジョンドゥと、脳性まひのあるハン・コンジュが、家族や周囲から疎外されながら互いを知っていく姿を描く。
韓国では2002年8月14日に公開された。上映時間は132分で、韓国での観覧区分は18歳以上。制作はイーストフィルムとCJエンターテインメントが担った。ジョンドゥをソル・ギョング、コンジュをムン・ソリが演じ、アン・ネサン、リュ・スンワン、ソン・ビョンホらが家族役で出演している。
家族と社会が向ける冷たい視線
29歳のジョンドゥは、ひき逃げ事故をめぐる過失致死罪で2年6カ月服役し、出所する。しかし家族は転居し、連絡も絶っていた。事故被害者の家を訪ねたジョンドゥは、そこで一人取り残され、近所の人の世話を受けて暮らすコンジュと出会う。
コンジュの家族は、本人名義で障害者向け住宅を取得して別の場所に住み、政府の検査官が来る時だけ彼女を新居へ連れて行く。世話の対価を受け取る隣人も、コンジュの生活空間を私的に使っている。映画は、二人の関係だけでなく、家族や周囲が二人をどのように扱い、どのような視線を向けるのかを映し出す。
二人の関係は、ジョンドゥの一方的で侵害的な接近から始まる。その後、コンジュから連絡したことをきっかけに交流が続き、食事やドライブを通して外の世界に触れていく。しかし飲食店でも家族の集まりでも、二人が歓迎されることはない。
現実と幻想が交差する物語
ジョンドゥの母親の誕生日会では、ひき逃げ事故を実際に起こしたのが兄であり、ジョンドゥが身代わりで服役したことが明らかになる。その後、コンジュの家族が二人を目撃し、ジョンドゥは障害のある女性への性的暴行容疑で警察に連行される。コンジュは感情が高ぶって誤解を解く言葉をうまく伝えられず、家族も警察も耳を傾けようとしない。
ジョンドゥは警察署から逃げ出し、コンジュが怖がっていた窓外の木の影を消すという約束を果たすため、木に登って枝を切る。その後、再び拘束される。ラストでは、コンジュが一人で部屋を掃除する姿に、出所したら戻ると約束するジョンドゥの手紙が重なる。
現実のコンジュは身体を自由に動かすことが難しいが、幻想の場面では歩き、歌い、いたずらをする。ソル・ギョングとムン・ソリは、イ監督の前作『ペパーミント・キャンディー』に続いて主演を務めた。
ベネチアで監督・俳優賞
『オアシス』は2002年の第59回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に招待され、イ・チャンドンが監督賞の銀獅子賞、ムン・ソリが新人俳優に贈られるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した。同映画祭では国際映画批評家連盟賞、カトリック系メディア団体の賞、若手批評家賞にも選ばれた。
海外での評価はその後も続き、イ監督はブリスベン・アジア太平洋映画祭のNETPAC賞、セビリア映画祭の観客賞、パームスプリングス国際映画祭のオスカー賞を受賞。シアトル国際映画祭ではソル・ギョングが主演男優賞、ムン・ソリが主演女優賞を獲得した。第75回アカデミー賞外国語映画賞に出品する韓国代表作品にも選ばれている。
韓国内でも春史大賞映画祭の大賞をはじめ、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞を受賞。釜山映画評論家協会賞、青龍映画賞、大韓民国映画大賞、百想芸術大賞でも作品、監督、脚本、演技が高く評価された。一方、第40回大鐘賞映画祭では、いずれの部門にもノミネートされなかった。
「勇敢な映画」と評された作品
米映画評論家ロジャー・イーバートは、家族や社会から孤立しながらも困難な関係が成り立ち得ることを知る二人を描いた「勇敢な映画」と評し、4点満点で3点を付けた。サンフランシスコ・クロニクルのG・アレン・ジョンソンはムン・ソリの演技を「非の打ちどころがない」とし、寛容を求める人道的な訴えを込めた、当時の10年間で最も独創的な作品の一つと評価した。
映画批評サイトのロッテン・トマトでは30件のレビューを基に90%の肯定的評価を記録し、ムン・ソリの際立った演技が、痛みを伴う作品の力を大きく支えていると総括された。メタクリティックでは14件の批評に基づき、100点満点中79点となっている。
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