
記事の理解を助けるための画像
NYタイムズが契約内容を問題視
韓国の大手芸能企業HYBE(ハイブ)と傘下レーベルADOR(アドア)は6日、NewJeans(ニュージーンズ)の専属契約に基本的人権を守る条項が含まれているとの声明を発表した。メンバーが10代の練習生だった時期に結んだ契約を「異例に制約が強い」と報じた米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)に反論した形だ。
NYTは、メンバーが14~17歳だった時期に締結された非公開の契約書を入手したとして、韓国政府の標準契約書と隔たりがあると指摘した。契約終了後、芸名や画像、声に対するレーベル側の権利が消滅するとの規定がなく、所属会社が肖像や音声を使い続ける余地があると分析。AI(人工知能)による音声の複製やチャットボットへの利用にもつながり得るとした一方、法的には明確でないとも付記した。
契約解除と費用負担も論点となった。NYTによると、会社側の意思で契約を終える場合でもメンバーに多額の違約金を課し得るほか、練習生時代の美容施術費の相当部分を負担させる内容が盛り込まれていた。複数の関係者の話として、デビュー前にメンバーをさまざまな角度から撮影し、ADOR側が一部に美容施術を提案したとも伝えた。
行動制限と未成年者保護も焦点
契約には、違法行為だけでなく、不誠実な態度や自己管理の不足、不適切な交際、差別的発言、会社との分裂を促す行為などを制限する条項があったという。会社の名誉を損ない得る内容については、真偽を問わず公表を禁じる規定もあったとされる。
NYTはさらに、学習権、睡眠権、休息権を保障する規定や、未成年の出演者を長時間働かせないための条項が見当たらないと指摘した。グループ関係者の話として、午前2時まで練習する日が少なくなく、練習場所はビデオカメラで録画されていたと報道。メンバー5人のうち4人が学校を辞めたとも伝えた。
契約締結前の協議にも疑問を呈した。あるメンバーの親が条項の変更を求めたところ、ADORの副代表から、草案に同意できないなら契約自体を再検討するのが最善だとの趣旨の返答があり、実質的な協議に応じなかったという。契約書を検討した弁護士は、近年の大手レーベルの契約では珍しいほどアーティストの自由を制限していると評価した。
HYBEとADOR「3カ月にわたり協議」
これに対しHYBEとADORは、2022年1月7日に草案を共有し、同年4月の締結まで約3カ月にわたって質疑応答や電子メールでのやり取り、メンバー側の弁護士による検討を踏まえた修正協議を重ねたと説明した。双方の十分な話し合いを経て契約が成立したことは、裁判所の判断でも認められたとしている。
両社によると、青少年保護のための別途の付属合意と人権保護条項により、睡眠、教育、休息に関する権利を保障している。費用分担や違約金の算定方法も、アーティストに不利になるよう変更されたものではないという。監視カメラは練習室など共用空間の安全確保だけを目的に設置し、AIコンテンツに顔や声を使う場合には本人ごとの同意が必要だと反論した。
HYBEは、契約終了後の権利利用もメンバーとの合意が前提で、会社が名前や顔を一方的に使えるわけではないと説明。美容整形を求めた事実もないとした。NewJeansに債務を負わせず、投資費用は会社が全額負担し、早い段階から収益を精算してきたとも主張している。
また、メンバー側の母親から費用負担を減らすよう求められ、HYBEの法務チームが複数の案を用意したものの、当時のADOR副代表が拒否したため現在の条件になったと説明した。違約金は標準契約書と経済的な効果が同じで、ソウル高裁も関連条項に問題はないと判断したという。「不健全な異性交際」を禁じる条項についても、アーティストを保護する目的で、親側の同意を得ていたとしている。
契約作成の責任めぐり主張対立
HYBEとADORは、契約文言の調整と最終署名には、当時ADOR代表だったミン・ヒジン氏と同氏が任命した副代表、メンバーと保護者、一部メンバーの法律代理人が関わったと強調した。NYTに対しても、ミン氏が契約の当事者だったと記事に明記するよう求めたが、反映されなかったとしている。
一方、現在オーケー・レコーズ代表のミン氏側も6日に声明を出し、契約書の草案と修正作業はいずれもHYBEの法務チームが担ったと反論した。ADORはHYBEが作成した契約書を基にメンバー側と連絡を取り、保護者からの質問や修正要求を法務チームに伝えて調整する役割だったと説明している。
ミン氏側はさらに、HYBE代表の承認なしには子会社代表が契約を承認できない仕組みをつくりながら、責任を別の当事者に転嫁していると批判した。NewJeansの契約内容をめぐる論争は、未成年アーティストの保護に加え、契約作成の主導権がどこにあったのかをめぐる対立へと広がっている。
コメント
コメントを投稿